共に行く者

そして共に行った者

翌朝、利実は大広間に顔を出した。

まるで何事も無かったかのような上機嫌で、オレ達と朝食を食べた。

その様子にいささか不安を感じる。

しかし帰り際に言い合いを始めるのはダメだ。

とにかく、旅行が終わればいいんだ。

それまで何があっても、動揺してはいけない。

したらオレ達の負けなんだ。

午前中の自由観光は、近場の観光名所を巡った。

みんな楽しそうにしていた。

…少なくとも表面上は。

昼食を現地のレストランで食べた後、いよいよバスに乗る。

そこまでは特に何事も無かった。

利実も大人しく、楽しそうだった。

席順は最初の通り、男達は2人ずつになり、女性4人組は後部座席に座った。

…さすがに利実の告白の件を聞いて、彼女達も思うところがあったんだろう。

席順を最初の時に戻して欲しいと言われた。

また戻ったことに、利実は特に何も言わなかった。

やがてドライブインで休憩となる。

この前のことがあるので、今度は全員で一緒にいることとなった。

どことなく、空気が澱んできているのを感じる。

利実の笑顔も、強張ってきた。

アレは疲れからじゃない。

焦りからだ。
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