共に行く者
利実と孝一、そして男2人がトイレに行った。

オレは残りの女性3人と共に、バスに戻る。

誰も戻って来ていなかったので、それとなく、利実のことを聞いてみた。

女性3人も何となく、利実の焦りを感じていたらしい。

でも態度や言葉には一切出さずにいるので、今の所は…という感じだった。

とりあえず最後まで気を抜かないようにと言って、オレは席に戻った。

やがて男2人が戻って来たものの、孝一と利実は一緒じゃなかった。

すると孝一が利実に呼ばれて行ってしまったのだと、不安顔で言った。

オレはすぐに立ち上がり、トイレに向かった。

しかし孝一と利実は近くにいなかった。

「どこに行ったんだ! アイツら」

まさか最後の最後で孝一を頼るなんて思わなかった。

でも考えてみれば、最初から利実は孝一を頼っていた。

だとすれば、最後に孝一を頼る事だってあるはずだと気付くべきだった。

2人が話をする場所…人がいない所を選ぶだろうな。

利実は自分を逆上しやすいタイプだと理解しているし…!

かと言ってそんな遠くへは行けないはずだ。

だとすれば、トイレの裏か!

オレは急いでトイレの裏に回った。
< 31 / 48 >

この作品をシェア

pagetop