共に行く者
置いていかれた者
明るい霊安室では、泣き声が響き渡っていた。

この病院は珍しくも、病院の最上階に霊安室があった。

外は明るく、太陽の光に照らされていた。

そこで棺桶に入っているのは、オレの親友の角汰孝一と、仁田利実だった。

オレが眼を覚ました時、いたのはバスの中ではなく、真っ白な病室だった。

そこには体中に包帯や手当てをされた仲間達がいて、事情を説明してくれた。

バスは洞窟に入ったところで、落石に巻き込まれた。

洞窟自体がもう古く、老朽化していた為、崩れてきたそうだ。

バスは洞窟に閉じ込められた。

だがその前に、落石を避けようとして、バスは急ブレーキをかけた為、車体は横に倒れてしまったらしい。

そこで…孝一と利実は命を落とした。

近くに座っていた人が起きていて、孝一のことを教えてくれた。

オレは孝一の手を掴んだまま、眠っていた。

事故も一瞬のことで、オレは起きている暇もなかった。

だが孝一は起きていた。

車体が傾く寸前、眠っているオレを抱き込むようにして…オレが受けるはずだった傷を負った。

オレを…庇って…。

そして利実は起きていたものの、窓際に座っていたせいで、窓から投げ出されたらしい。

そこへ落石が落ちてきて…。
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