共に行く者
本当は今すぐにでも、孝一の元へ行きたかった。

けれどアイツは言った。

孝一にとって、オレが全て。

オレが生きていることは、自分が生きていることなんだと!

ならオレは…自ら命を絶つことはできない。

それは孝一のもう1つの命を、絶つことと同じだから。

アイツは…オレを庇って死ぬことを、あの時気付いたんだろう。

それで生死の境をさ迷っていたオレを起こした。

最後に会話をしたくて…。

例のおそろいのケータイストラップを渡したくて、起こしたんだ。

そして連れて行った。

利実を。

自分の黄泉路への旅に、道連れに選んだ。

このまま利実をほっとけば、現実に戻った時、きっとオレにちょっかいをかけるだろう。

利実が危ない連中との付き合いがあることは、オレ達は知っていた。

そして利実の執着の深さも…。

だから連れて行ったんだ。

オレではなく、オレに害を成す者を…。

オレの為に。

ならオレは生きなきゃならない。

そして…やがてオレの寿命がきた時、アイツの元へ行こう。

きっと、ずっと待っていてくれる。

「孝一…!」

オレはふらつきながら、孝一の棺桶に向かった。
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