合縁奇縁~それでも愛は勝つ

「あたし……

あたし自身の思いが、雄輝に乗り移ったようで怖いんです。

幸せな家族の形を夢見描いているのは、むしろあたし自身なのかもしれません。

先生?

あたし、今、凄く不安なんです。

この先ずっと、子供の成長だけを見守って生きる人生に不安なんです。

あたし……

幸せなんでしょうか?」


あたしの、この不安定な思いが、周りを傷つけていることが怖かった。


「天野さん、幸せか、幸せでないかは、自分自身で感じることよ。

今までずっと、一人で頑張ってきた、あなたの不安はわかるわ。

きっと、すこしだけ、疲れてしまったのね。

でも、その不安のまま、何かに縋ろうとしても、幸せは掴めない。

幸せは、幸せと感じる心が呼び寄せる魔法なの」



そう言って、先生は、あたしの身体をしっかりと抱きしめて下さった。
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