in the dark†短編†
「柏木先輩カッコイイよねー」

リカがそう言い出したのは、5月の終り頃。

茶色の髪をクルクル巻いた彼女は、カワイイ顔立ちで、男の子にも人気があった。

本人もそれに気付いていて、鼻にかけるような態度をしょっちゅうとっていた。

我が儘で自由奔放。

でも、誰も彼女に逆らえなくて。

彼女の決めたことは、いつも絶対だった。

「夏休み前に先輩に告白しようと思ってるの。協力してね」

可愛くおねだりする姿とは裏腹に、恋をしたリカは、いつも以上に扱いずらく不安定で。

先輩の行動に一喜一憂する彼女を、私たちは傷つけないように必死で気を使った。
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