いつか、桜の下で…




携帯の振動がベッドに響く。



その振動で我にかえった陽菜が、急いで携帯を手にとるとサブディスプレイには『久美』と書いてあった。


携帯を開くと、着信画面になっている。


「もしもし?」



『ぁ、陽菜。無事に帰れた?』


「うん。大丈夫だったけど、どうしたの?」


久美から、電話が来ることなんか、珍しくはない。


けれど、何だか今日は久美の雰囲気がおかしかった。



『ほら、陽菜が倒れたときに男子きたじゃない?』



倒れたとき?


そういえば、誰かの声が聴こえたような気がする。


そう思いつつも、声をかけられたのは陽菜が倒れる直前。


だから、陽菜には声を判別することなんか出来なかったのだ。


けれど、男子となれば、思い付くのはただ一人。




「もしかして…三浦君のこと?」



不安気に陽菜はそうきいた。



『うん、そう!』



「それで三浦君がどうしたの?」



『それがね?』



………………………

…………………

………………


……………


< 27 / 162 >

この作品をシェア

pagetop