魔王に捧げる物語


なんだろう………あの人とニルが話す姿を見ているともやもやする。


ズキリと胸が痛む。


この間の事でニルを微妙に避けていたが、今は気になって仕方ない。

何を話しているのか、聞こうとしていたところに、突然声がかかった。



「ミラ?隠れてないで出ておいで」

「っ!!?」


バレているなら仕方ない、そう思って柱から離れそっと彼らに近づくと、明らかに不快そうな視線が向けられた。


「あなた……まだいたの?」


どういう意味!!?

少し怖いが、ミラはイリスと目を合わせた。


「………あなたには……関係ない」


「私、庶民と話した事ってあまりないの。接し方に困りますから外してくれないかしら?」


「イリス」


「魔王様のお側にあなたみたいな庶民がいること自体おかしいのよ……、


この間、我が国にいらしたの。

その意味くらい察して下さらない?」



汚いものを見るように厳しい視線を向けられたミラが押し黙る。


我が国にいらした………って何?


この間って?

城を空けていた時のこと……?



< 137 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop