ぼくのいえ
ともだち
空が、ぴかっと光る。風が、雨のにおいを運んでくる。ぼくはブルゥな気分で、耳を揺らす。
と、ポピィの声がした。かわいい、キャンという声だ。ブルゥな気分もなんのその、ぼくは背骨をいっぱいに使って駆け出す。
ポピィは居間にいた。手入れしたばかりのふわふわの茶色い毛に、ぬめりとした黒い目。ちろりと舌を出してぼくを見る。ちぇ、そんなに魅力たっぷりにしたら、ぼくがどうにかなりそうになるのを知ってて、やっているんだ。
「ポピィ、ぼくのこと呼んだ?」
精一杯クールに振るまおうとするけれど、ポピィのいたずらっぽい目で、失敗したことをぼくは知る。
「もちろん、呼んだわ」
「で、なに?なに?」
「あのね」
そこまで言って、ポピィはソファに座り込んだ。慌てて走りよるものの、ポピィは僕なんか目に入らないように長い睫毛を伏せている。ぼくの辛抱は永遠には続かない。同じようにソファに飛び乗ってポピィの耳を軽く噛むと、ポピィは高い悲鳴をあげた。とても大げさな悲鳴だ。
「ひどい!ひどい!」
「言わないほうが悪いんだい。なんなのさ」
「あんたなんかに話すことないわ」
ポピィは前足でぼくをはたくと、ソファの下に潜りこんだ。彼女は爪を出していて、あやうくぼくの鼻や目を引っかくところだった。でもぼくは男らしく悲鳴を飲み込んで、こう言ったんだ。
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