涙の雨
第1章

濡れる唇

中学生になった俺



桜前線が
関東にやってきて


辺りの木々は

ピンク色に染められた桜の木ばかり



新しい友達



新しい環境





これから始まる

中学生活に



心躍らせながら校門をくぐった












うちの学校は男子校で

中高一貫の学校は敷地がかなりデカイ




校庭も体育館も校舎も

迷路のような広さだ




この学校を受けようと思ったのは

母親の薦めだった




“あそこなら立派な大学へ進学出来るわよ”




スパルタの母親は

当時小五の俺にこう言った


父親は医者で

四つ上の兄も、父親を目指し東大へ進学した



昔から俺は兄と比べられていた




“貴宏が出来なくて、何故貴方が出来ないの!?”




頬を叩かれる事なんて日常茶飯事




テストでいい点を取らないと

晩飯を抜きにされた





父親は浮気をしていて

母親と毎日のように喧嘩していた




だから普段のイライラを

俺にぶつけていたんだと思う




兄はそんな俺を



弱虫だと言っていた
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