涙の雨

その瞬間、俺の腕を強引に引っ張った望月は



そのまま俺を抱きしめてきた




「ちょっ…やめて下さいよ!」
「―嫌だ」



望月の考えている事が

全くわからなかった




「ホントにやめっ―!」



望月から離れようとしても


俺を抱きしめる腕の力が、とてつもなく強かった



―何で…


何でこんな事するんだよ




俺は頑張って
忘れようとしてるのに―!









「―離せって、言ってんだよ!!」








そう叫んだ俺は


両手でおもいっきり望月の胸を押すと


やっとの事で望月の腕がほどけ、離れる事が出来た




「俺と尚輝さんはもうただの教師と生徒なんだから、こういう事すんなよ!胸が苦しくなるから、ホントに嫌なんだよ!」



そう言ってる時も

胸がギューっと強く締めつけられて


とにかく自分自身に

歯止めが効かなかった





「俺は必死に尚輝さんを忘れようとしてるのに、何で…何で抱きしめたりすんだよ…」


独り言のようにブツブツ話す俺


でもその声は



望月にも届いていた
< 120 / 195 >

この作品をシェア

pagetop