涙の雨

「ん~…、先輩だったら限定の方が似合ってるんじゃないですか?色もゴージャスだし」


コンバースのワンスターと呼ばれるシリーズで

表面の色がゴールドで、八月に出たばかり限定品なんですと



山田についた店員が

隣でペラペラと話しかけている




「遼太はこっちか…」

限定品をじっくり見ながら
ボソリと呟く山田



「じゃ、こっちくれ」




そう言って店員に差し出したのは


限定品ではなく
ハイカットのスニーカーだった












「そうだったんですか、俺はてっきり先輩が履くのかと思ってましたよ」



昼過ぎになって

ようやく一段落ついた俺達は
すぐ近くのマックで昼ご飯を食べていた



「遼太と同い年だからよ、遼太が選らばなかった方を買おうと思ったんだ」


向かい側に座る山田は

Lサイズのドリンクを勢いよく飲みながら言った




「先輩に弟か…。たしかに面倒見いいですもんね、先輩って。いつも周りに人だかり出来てたし」



山田を見つめながら

しみじみと話す俺
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