涙の雨
息が上がってうまく話せなかったけど


今自分が思ってる事を

どうしても望月に伝えたかった




「尚輝さん…っ」

「…何?」


望月も息を荒くして

俺を上から見つめている



「嘘…でもいいから…、ずっと一緒にいるって…言って下さい…」



その言葉に

望月は驚いたまま黙ってしまった




「俺達はずっと一緒だって…、俺に言って下さい…っ!」




叶わないなら

そめて言葉だけでも




今にでも泣いてしまいそうな気持ちを、グッと堪える俺



泣いたって何も変わらない


それに泣いて困るのは





尚輝さんだから…








「…遼太、俺達はずっと一緒だ」



その言葉が聞けただけでも
最高に幸せ




「ずっとずっと…ずっと一緒だから」


望月を全身で感じて


全身で望月の言葉に酔いしれる





「―ああっ!」


足がガクガクと痙攣してきて
頭が真っ白になり



「尚輝…さ…ん!」



その瞬間俺は

望月の背中に、無意識に爪をたててしまった




俺が望月につけた最初で最後の傷痕




それは望月が名古屋に旅立つ前日まで
ずっと消えずに残っていた
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