涙の雨

“不在中”


保健室にかかる一枚の札



そして部屋の中には

若い男性が二人きり…













「怒ってないよ」



―その口調が既に怒ってるんですけど




その日の昼休み

俺は保健室で望月と会っていた




朝の出来事がまだ頭に残ってる


賢二は何も知らないから
仕方ないけど


俺と望月は恋人同士




あの状況であの答えはしょうがないじゃないか




「その言い方はもう怒ってます」

俺は望月から少し離れた場所で言った



「こんな事で怒ってどうするんだよ、子供じゃあるまいし」



そう言いながら

煙草を物凄い早さで吸っている



いつもなら二、三本なのに

灰皿の上には既に十本以上の吸い殻が残っていた




「だって…あぁ言うしか無いじゃないですか。賢二は俺達の事知らないし…」
「―だったら教えてやればいいさ」




「え…?」




望月の言葉に心臓がドクンと大きく動く



「俺と望月先生は付き合ってますって、後藤に話せばいいじゃないか」




笑いながら眼鏡を直し
煙草の火を灰皿で消した


望月の言ってる意味が

さっぱりわからない俺
< 76 / 195 >

この作品をシェア

pagetop