涙の雨

―プルルルッ


これで三回目



その日の夜、俺はベッドの上で
着信音が響く携帯をジッと見ていた


開いたままの待ち受け画面には


“尚輝さん”の文字



正直


話したくなかった




嫌いになった訳じゃないけど

何を話せばいいのかわからなかったんだ




あの保健室での出来事を蒸し返されるのか


それとも


何もなかったかのように

普通に話をするのか




望月は大人だから

何でもその場限りで


気持ちを切り替えられるかもしれないけど




俺は

簡単に忘れる事は出来なかった



望月に初めてキスをされた時も

今回の事も



悩むのはいつも俺




望月は自分の好き勝手に
俺を振り回して


好き勝手に行動してる


その裏で
俺がどれだけ考えて



どれだけ悩んでるかなんて

何も知らないんだ




そして着信音がプツッと切れた


多分留守電に繋がったんだと思う
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