Sin(私と彼の罪)




泣き続ける彼女を組み敷いて、本能のままにキスをする。


赤く熟れた彼女の唇は甘くて、罪深い。


もっと、もっとと欲が出てきて離れられない。









きっと、何もかも思い出してしまった。



憐れな女だ。






どうせ、これからもその身をすり減らしながら生きるのだろう。



死ねない、この女は。







俺は御守りのように持ち歩いていた、小さな袋を握り締める。



心なしか自分の感情が穏やかになった。


それをベッドサイドに置くと、彼女に向き直り、その胸に顔を埋めた。


何度も俺を受け入れ続けた身体はそう簡単に変わりはしない。


しばらく愛撫を続けると、甘い声が溢れ出した。





そして俺は彼女の身体を蝕むように、抱いた。




めちゃくちゃにしてやろうかとも思った。

しかし、それよりも身体に染み付くように抱くほうが魅力的だった。



体だけでも、俺の痕跡を覚えていてくれ。



そう、願って。


鎖骨の俺が噛み付いたアトは、まだ痛々しく赤くなっていた。




そこに、口付ける。







…放してなど、やるものか。





一生、俺の隣にいればいい。





俺は、その生を




死を、見送ってやる。



< 51 / 126 >

この作品をシェア

pagetop