インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~

第5章/第4節  愛は儚なく

逃しはしない。



でも、
心残りが……



こないだ同様、
勘定はしてくれたけど、
また飲み損ねちゃった。




アイスレモンティ……



「ねえ、ちょっと待ってよ」



「……」



何度呼びとめても、
たけるは一切無視。



もう
あれしかないと思った。



ほんとはなにも訊かず、
なにも触れずに、
このまま帰してあげたかった。



一度は好きになった男だから。



見逃してあげたかった。



けど、
もうそうするしかなかった。



「見ちゃったんだ。犯行現場。あれって、オレオレ詐欺ってのかなぁ……」



たけるの足が
ピタリと止まった。



「それとも振りこめ詐欺ってのかなぁ……いま流行りの……やってるでしょ?」



「……」



「ていうか、その片棒を担いでるっていったほうがいいのかな?」



とりあえず否定する。
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