インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
電話を繋いだままでといわれたけど、なにを思ったのか切ってしまってたくらいだから。



とりあえず、
ひかりの指を
一本一本開くようにして、
その手から
カッターナイフをはがした。



でも、
それだけ。



それ以上は
なにもできない。



呻いてる、
苦しがってる
ひかりを目の前にしても
なにもしてやれなかった。



歯痒かった。



そして
申し訳なかった。



あたしのせいだ。



あたしがいたから。



あたしがいなかったら
こんなことにはならなかった。



全部あたしのせい。



「ごめん」



謝ってどうなるものでもないのに、そうすることしかできなかった。



いつしか
激しく降りだした雨が、
横殴りに降る雨が、
そんな不甲斐ない、

どうしようもない
あたしの頬を
何度もぶった。
< 392 / 417 >

この作品をシェア

pagetop