海賊と私


 「旅したらどうだ?」

 きっぱりと言うショウさん

 『…旅はしたいです。でもお爺ちゃんが亡くなった今私はお爺ちゃんが造ったこの宿を守らないといけないんです。それに…』

 「それに?」

 『この町の皆さんも私の事を守ってくれたので今度は私が守る番なんです』

 「お前は本当に良い娘だな!気に入った!!!さあ飲め!!!」

 そう言って船長さんは私の肩を片手で抱いてもう片方の手で持っている酒のはいったグラスをグイグイ押してきた

 『だ…大丈夫です/////』

 余りにも近くて顔が火照るのを隠しながら何とか船長さんから逃れた

 その後もドンチャン騒ぎは日が上
るまで続いた

 私は騒いでいる海賊さんたちを見ながら思っていた
 一番若くて下っぱだけど誰よりも明るいイチ君
 無表情で冷たい口調だけど優しいショウさん
 優しさと優しい笑顔を持っているシイさん
 無口で掴み所がいまいち分からないけど他の人の事を良く見ていてちゃんと対応をしてくれるセナさん
 無鉄砲でぶっきらぼうだけど一番気にかけてくれるクリュウさん
 ちょっと軽い感じで対応に困るときはあるけど人をまとめるのが上手く心の広いコウガ船長
 この人たちはあいつらとは違う…もしこの町が私達が抱えているものを知れば助けてくれるかもしれない…だけどだからこそこの人たちを巻き込んじゃいけない…そう思った夜だった





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