*PRECIOUS DAYS*
「おー、烏丸ぁ!
あいつ、松尾おらんくないか?」

松尾というのは、遥菜の苗字。
それにしても、先生の方から、尋ねてくるなんて……、と理由はともかくその事実にただひたすら嬉しがっていた。

「あ!
もしかして、松尾、あいつっ……!!」

「え、もしかして、遥……、いや、松尾さんどっかで見掛けたりしました?」

気になった私は、先生にそう尋ねてみた。

「いやー、トイレの近くにいたような気が……」

そう言って、先生は女子トイレの前に出来ていた長蛇の列を指差した。
そして、その中に遥菜がいた。

「ちょっ、あれ、遥菜……?!
んもうー、遥菜っ、あいつ……!!」

私は、無駄な気疲れで腹を立てる余裕すらなくなっていた。

「まあまあ、そう怒らんと。
松尾に『お前、もっとしっかりしろ』って言うとき!

……な?」

先生は、そう言い、私の手をいきなり握った。

「えええ!!?ちょっ、せんせ……?」

私は、驚いて思わず手を離しそうになった。

けれども、先生はいきなり遥菜の方に向かって、軽やかに走り出した。
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