-Super Natural-


朔夜の言いたいことは、なんかよくわかる。


「『生半可な思いや覚悟で星に行っても、欠片は見つからない。それどころか、星に行くことさえできない』

そう言いたいんでしょ?」


なぜかは知らないけど、口が勝手に動いて、そう言った。


「…やはり、まだほんの少しの自我は残っているのですね…」

朔夜が、私にですら聞こえないような声で呟いた。

「え?」

「いえ、何でもありません。

あなたの仰られる通りです。

さあ、どうしますか?」

また問い掛けられた。

でももうすでに、私の心は決まっていた。


「…星に行く。記憶の欠片を探しに。」


朔夜は反応を示さないが、私はそのまま続けた。


「あなたの仰られる通りです、ってあなたは言ったけど、私はそうは思わない。

昔からの私を知ってるあなたなら、私がこう言うことは、分かっていた筈でしょう?

…私は、旅に出る。

覚悟とか何とかは置いといて、私の失った大切なものを、取り戻すために。」

(結構ペラペラ喋れるんだな、私)

自分で自分に感心しながら、朔夜の答えを待つ。

朔夜は、少しの間のあと、一度俯いていた顔をあげ、私に言った。

「…では、我が主君よ。

この私に、命令をください。

私にできる最良のことを、この私に、ご命じください」

そう言われた瞬間、少し悩んだ。

昔の私をよく知っていて、理由はどうあれ、私に使えてくれていたらしい人、朔夜。

一人の人間の人生を、この後の私の一言で、無茶苦茶にしてしまうかもしれない。

そう思った。

でも、そう思うのと同時に、こうも思った。

私が彼と一緒なら、彼に何かしてあげられるかも知れない。

だから、私は、


「私に着いてきてください、朔夜。

私には、あなたの助けが必要です。

…いいですか?」

私を見る朔夜の目を見て、そう言った。

答えを聞くのが、少し怖かった。

すると朔夜は、また俯いて、優しく、こう言った。



「イエス、ユア・ハイネス」






新しい旅が、始まる。






< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop