月の恋人


――――…





「…………………………」





呼吸が

行き交う。






シン、と冷えた脳の中に
温かい血が通ってくるような感覚が蘇る





あたしの吐いた息は
涼が吸い取って


涼の口を通して
そのまま、あたしの中へ返ってくる。




その行為は、何度もくり返された。









あたしの目には
ずっと涼の顔しか映っていなくて


その涼の額には
汗が、粒になっていくつも浮かんでいた。






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