月の恋人





「――…… はぁ…」


コレで計何回目のため息なんだろう。
地球上の酸素を無駄に消費している気さえしてくる。



「―――… ふぅ…」

ここに来てから、もう5日になるのか。



あの、嵐の夜から――…


『陽菜が好きだ』

そう、決別の告白をしてから。



隣町にあるばあちゃん家に転がり込んでからというもの、何もせずため息ばかりついて、もうすぐ一週間だ。


いい加減、なんとかしなきゃいけないんだろうけど。

ばあちゃんやお袋が甘やかすのをいいことに、俺はここに居座り続けていた。



陽菜からの着信やメールは目に入っていたけど、全部、無視した。

何をどう返事していいか、わからなかった。


逃げてばっかりじゃだめなのは分かっているけど
どうしても、向き合えない。



だって、次に陽菜と会うときは――… 

きっと、最後通告を突きつけられる時だから。









< 275 / 451 >

この作品をシェア

pagetop