月の恋人









それは、あまりにも突然の出来事だった。

朝、目が覚めて、しばらくは普通に過ごしていたのに――…





「陽菜。朝食は2人で適当にしてね。今日は5時くらいに帰るから。」



ママはあたしと翔くんにそう言って、いつものように出て行こうとした。

それに返事をしようとして…気付いたんだ。




「(いってらっしゃい)」





あたしの返事は、音声を伴っていなかった。

掠れた様な空気が出てくるばかりで、一向に声が出てこない。



リビングに妙な間が訪れた。





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