月の恋人
周りに壁を作って
塞ぎこんでいたオレの心に
ものすごい威力で風穴を開けていったのは
少し変わった、陽菜だった。
離れている間に
どうしてこんなに強い女の子になっちゃったんだろう。
ライブハウスの通路は、いつのまにか西日が射していた。
光が―…集まる。
胸に飛び込んできた陽菜は
熱くて、眩しくて、少し重かった。
光の塊―…
まるで太陽みたいな質量のものを
腕に抱いている気分だった。
答えは、もうとっくに出ていた。
芹沢のおじさんに、伝えよう。
今は、まだ…その時でない事を。