月の恋人



あたしは―…

久しぶりに、翔くんがあたしの名前を呼んでくれたことで


“陽菜ちゃん”って

翔くんの口から、
あたしの名前が出たことで


ただ、それだけの事で、

頭がいっぱいになってしまって。




「変わんないな…」に込められた


翔くんの複雑な胸の内に

気付きも、しなかった。




――…ごめんね、翔くん。




あたしが、もっと…

もっと、ちゃんと気にしてあげられたら、よかったのに――…









【光と影 終】







< 50 / 451 >

この作品をシェア

pagetop