不器用男子
 樹里菜ちゃんと歩いてきた、屋上。


「話って何かな…?」

「樹里菜ぁ…千隼のことが好きになっちゃったんですよぉ…。」



 え…?


 樹里菜ちゃんが?


 千隼も私と樹里菜ちゃんだったら樹里菜ちゃんを取るよね?

 私は邪魔をしちゃいけないんだ…。


「そっか…。」

「先輩。 千隼と何もないですよね?」

「え?」

「先輩って千隼とただの友達ですよね?」

「…」

「あーあ。 付き合ってるって本当なんだ?」


 急に変わった表情と口調。

「…樹里菜ちゃん?」


「悪いんですけど…別れてください。 先輩なんかと千隼はつり合いませんよ?」

「分かってる…。」


「自覚してるんだぁ? じゃぁさっさと別れちゃってよ?」

「…うん。 でもさ、その前に教えてほしいの。」

「…何を?」

「樹里菜ちゃんって…千隼とどういう関係?」


 千隼はあまり知らない人とは関わらない。


 あんなに楽しそうな声、樹里菜ちゃんとは関係がなかったらしないハズ。


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