お兄ちゃんは危険な××!


名前を呼ばれてはっと振り返ると、二井くんが心配そうにわたしを見ていた。


「大丈夫? 佐伯先輩に様子を見てやってくれって言われて、来たんだけど……」


「……」



なるほど、佐伯先輩。



わたしの王子様は二井くん、ですね。



「ありがとう二井くん。でも大丈夫だから!」


顔をあげて、にこっと笑う。


「でも、顔色が悪い……あれ、悪くない……?」


「うん、平気。だからみんなのとこ行こ、応援しないと!」


そう言って二井くんの背中をぐいぐい押しながら、わたしの腹の中は熱い炎が燃え盛っていた。


わたしらしくなかった。


キスを見せつけられたくらいで弱気になってただなんて!


ありがとう先輩、目が覚めたわ!


二井くんは優しいし、スポーツ万能だし、かっこいいし、素敵な人。


だけど、お兄ちゃんじゃない。


わたしにとってお兄ちゃん以上の人はいないんだから!


「宣戦布告! 受けて立つ!」


「え?何? 俺?」←二井






≪体育祭は恋の嵐 完≫


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