花を愛すように君を愛そう。
忘れたい。
けれどそんなことはできません。
そんな気持ちを抱えていると、
「お嬢様。
お車の用意ができました」
と、使用人が声をかけてきました。
そこにいる、何人かが私のほうを見て、哀れむような視線を送っているのがわかります。
「そうね。そろそろ行きましょう」
もうお父様のほうは振り向きませんでした。
それが私が見せた精一杯の反抗。
それくらいしか、できることがありません。
家の主にはむかうことは許されないからです。