彼が猫になる
何か泣けてきた

智の優しさが

こんなにも暖かくて

惨めな立場でもある彼に

こんなにも気を遣わせて

それが自然で出来る人なんだって

「アリガト」

必死に出した言葉

ぐちゃぐちゃの声で

でもしっかり智は聞いてくれた

「も~分かったから
     泣くんでない!」

「あれだぜ?
   胸は貸してやれんが
  あっしーにはなってやるから」

「着信拒否なんてやめてくれよなぁ~
  俺傷つくから」

「これからも
   末永くよろしくな!
  じゃあなー」
一人で喋って

一人で逃げた

ほんといい奴

切れた携帯なのに

とても大切で

耳に残る智の声

ありがとう…

あたしは携帯をぎゅっと抱きしめる

ゆっくりと淑子先輩の隣に座る

先輩はあたしの顔を覗う

あたしは涙ぐんだ顔で

精一杯の笑顔

振られちゃいましたっ♪

「あちゃぁ~」

手でオデコを押さえる先輩

体が反り返ってしまった

戻ったかと思ったら

日本酒をついでくれた

やっぱりぉ酒ですか…

いいですよ

今日はとことん淑子先輩に

ついていきますよ

「それでこそ
  うぶだぁーーー」

訳の分からない応援酒

もう当分

恋はお預けだな。。。 


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