誓いの言葉・高校編
◆隆文side

俺は彼女の背中を見つめながらこれまでの事を思い返していた

俺が思い出すのは、病室でいつも泣いていた彼女の小さな背中…

俺はいつか彼女に

「お母さんが死んだのは貴方のせいだ」

と、言われる日が来ると恐れていた

幼かった俺は彼女に話しかける事もできず、ただ"藤村 瞳"と言う名前と俺の祖父が当時飼っていた犬と撮影した1枚のスナップ写真を手掛かりに、いつか彼女に会う事があれば心から謝りたいと思っていた

思いがけず彼女を知ったのは、中学生2年生の夏休みに行われた"錬成大会"の時だった

可愛かった彼女を遠くから見ていた俺は彼女の持ち物から偶然見えた紅白タスキに"藤村 瞳"の名前を見つけたから

それから俺は合宿中目が離せなかった…

彼女が引越し前に住んでいた友達との久々の再会に喜んでいた様子に俺は確信した

彼女の話していた事に聞き耳を立ててわかった事は、今は千葉に住んでいる事…
そして"あのタスキ"はお母さんが作った物でお守りなんだと言う事だった

切なくなった-----
彼女が今どんな生活をしているのか気になった
彼女が忘れられなくなった


しかし翌年の錬成大会には彼女は来なかった
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