Calling*Me
濁った血は透明にはならないのよ
芽瑠side



昨日なんて激痛の所為で一睡も眠れなかった…。



黒いワンピースに落ちた一滴がまだいまだに漂ってきそうだった。



開けたのは左耳の方。



なんか私はいつでも左利きだったしケータイの持つ手も左。



美佐からかな…。



着信が1件来ていた。



叶だった。あの日私がピアスを開けた時間の1分あとだった。



もっと早く電話をしてほしかった。間違いを犯す私を止めてほしかった。



遅いよ…。



激痛に耐えながら体を起して叶に言いたかった。



「叶もピアス開けてよね」って。



ずるいよ。そんなのずるい。



もう血は止まっているだろうか。変な目で見られないだろうか。



「悪魔マリアは病んだのか」と夜の傍観者は私にこう言うだろうか。



濁った水は元には戻らない。そんなこと当然なこと。


だから私の濁った心と体は戻らない。



戻らないって…前もこんなんだっけ。



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