ハルシオンと夏の日
ひきこもり
「お母さん、脳腫瘍だって」

あたしと妹は祖父母の家に預けられた。
学校へは行かなかった。
あたしは荒れていた。
昔お母さんの部屋だった狭い和室に閉じ籠った。

「るなちゃん出ておいで」
祖父母はなんとかしてあたしを部屋から出そうとした。
「入ってくるな!」
手元にあったお皿を祖父母めがけて投げた。
「死ね!おまえらなんか死んじまえ!」
「あんたそれ本気で言ってるの?」
「本気だよ」
祖母が泣き出した。
後にも先にもあたしが祖母を泣かしたのはこのときだけ…。

うるさい。
みんなうるさい。
誰もいない場所に行きたいよ…。

プチ、プチ、
髪の毛を抜く癖がはじまった。
何度も自分の頬を殴った。
お父さんの前で助けて欲しくて
自分で指を突っ込んで吐いた。
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop