加害者は俺、被害者は私。

私達は、演習が行われるホールに向かった。

蒼之丞くんは音大なのに、三味線が好きというだけなので、演習には加わっていない。
海山田音大は、音大なのにその他にも沢山の学科がある。
蒼之丞くんは、総合学科という特別な学科にいる為、様々な講義に自由に参加できるという特権を持っているのです。

というわけで、蒼之丞くんは見学で、私とゆーちゃんが演習を受けます。

「あー…身体動かしてぇ…」

「じゃあ外で遊んできなさいよ。ていうか、見るだけなんて…あんたにとったら退屈でしかないでしょ?」

「まーなー…」

「まぁ、見たい気持ちはわかるけどね」

「あ…」

懐かしい…

「ここに来るの、珀とは久しぶりね」

私が懐かしんでいるのに気付いたのか、ゆーちゃんは隣でホールを見つめ、目を細めている。



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