恋愛倶楽部 -love-

◆ごめん






目を閉じれば夢の世界。

もう少しすれば、部活の時間。

だからそれまで、お願いだからあとちょっとだけ眠らせて。


色を失い始めた現実から、逃避させて。




「蘭、授業終わった」

「寿羅、うるさい」

「人が親切に起こしてやってんのに、その態度かよ」


机に顔を伏せていたあたしは、体勢を変えずに文句を返す。


「別に行かなくていいんじゃねーの」

「奏斗は?」

「知らねーよ」


奏斗は、もう帰っちゃったのだろうか。

同じクラスで、毎日一緒にいて話してるのが当たり前だったのに。


「奏斗は?」

「だから知らねーっつーの!」


今日はまったく言葉を交わしていない。

あたしのせいだ。

あたしが、隠し事をしてるみたいな態度をとったから。

仲間なんていらないって言ったから。



「どうしよう。
このままじゃ、みんなバラバラになっちゃう」

きっと話しかければ戻るんだろうけど、無視された時を考えると話しかけられなくて。


お互いに避け合って過ごす日が数日続いている。


それは風音に関しても同じで

「箕笙がまた、てめーの名前叫びながら窓ガラス破壊したってよ」

非日常が、日常的になってきている。



「何枚目?」

「知らね」


風音、怪我してないといいけど。



「ゆずゆちゃん、」

ようやく顔をあげて伸びていると、教室の入り口付近から牡丹の声。

きっと、あたしがいつまで経っても部室に行かないから迎えに来たんだ。






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