恋愛倶楽部 -love-



そりゃ、そうなんだけどさ。

この目で、確かに手首の刻印を見たんだから。

亜蓮が持っているのと同じ、紫の菊の花。



「どういうこと?」

説明が足りない。

亜蓮と凪兎の間に、何があるのかがわからない。

混迷の度を増す、人間関係。


あたしは、本当に何も知らなかった。




タバコに火をつけようとする亜蓮のそばまで行って、ライターを取り上げる。


「まだ未成年でしょ」

注意すると、取り返そうとして伸ばしてくる手。

あたしは片手を高くあげて、質問を再開。



「誤魔化さないで、ちゃんと答えて」

知りたいだけなの。


「凪兎は、まるで前からあたしを知ってるみたいだった。
それって、亜蓮が何か関係してるからなの?」

知りたいだけ。


「凪兎に、何か言ったの?」

あたしはきっと、亜蓮の行動の意味が知りたいんじゃなくて


「なんで、凪兎なの……」

凪兎のことが、知りたいんだ。



どうして、なんだろう。

こんな出会い方、したくなかったのに。



「おまえ、凪兎のこと───」

言いかけて、亜蓮は勢いよくあたしの片腕を引っ張った。






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