恋愛倶楽部 -love-



目を強く閉じて、ライターをいじる。

邪魔になるなら、この刻印を焼けばいい。

消したいなら、消せばいい。


それ以外に、方法が思いつかないの。


怖くて、涙が止まらなくて、手の続く震えが大きくなる。



仲間を失うのは嫌だ。

だけど、それよりもっと、今は凪兎を失いたくない。



「なっ…、バカ!」

ライターを胸元へ運んだ瞬間、手首を強く掴まれた。

反動で、震える手から落ちたライター。


「放して!邪魔しないで!」

抵抗しようとして伸ばしたもう片手も、すぐに捕まってしまう。


視界に入り込む、左腕のリストバンド。

それを取れば、あるのは紫色の菊。



「やめて、凪兎、お願いだから…っ」

きっとすでに、あたしの顔は涙でぐちゃぐちゃだ。

こんな姿、見せたくなかったのに。


「ふざけるなよ!
何考えてんだよ、バカだろあんた」

「バカだよっ、……こうするしかできないんだもん、仕方ないじゃん!」


掴まれた腕から伝わる熱でさえ、あたしをおかしくしていくから。

この近すぎる距離が、切なくなるから。

手を伸ばせば触れられるキミが、愛おしすぎるから。



「放してよ!!」

耐えられなくて、逃げようと必死にもがいた。






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