終学旅行
 都会の中にこんなに広い公園があることを、私はそれまで知る由もなかった。すっかり冬というのに、ビルの合間にあるせいか風を感じずそれほど寒くはない。

 さりげなく後ろを振り返りながら、尾行している人がいないか確認をする。もう、ここにくるまで何度も繰り返してきたことだ。

 東京へは遠い昔に来たことがあるくらいで、ほとんどはじめてに近い。だからこそ、この場所を選んだのだ。

 思ったよりもたくさんの人が公園にはいた。平日というのに、みんな癒しを求めているのだろうか。間もなく年の瀬も押し迫り、新年を迎える準備であわただしくなる。


 緑の木々を眺めながら少しずつ、足を公園の奥へとすすめてゆく。




 
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