終学旅行
 
「ごめんなさい」
女がそうつぶやくように言った後、地鳴りのような短い爆発音がし、佳織は自分の身体が大きくバウンドするのを感じた。

 次の瞬間には地面に突っ伏している自分が分かった。

 胸のあたりが焼けるように熱く、そして耐えられない痛みが襲った。



 視界がぼやけてゆくのを感じながら、遠くで生徒の悲鳴が聞こえた。

 心臓の音がやけに近くで鳴っている。

 そしてその音がするたびに、寒さが襲ってきた。


 体温が奪われるのと同時に、目の前は暗くなってゆく。



 生徒たちの悲鳴がどんどん遠ざかる。


 心臓の音もだんだん聞こえなくなる。




 静かな闇が身体を包むと、もう佳織は何も感じなくなった。










 
 




< 55 / 226 >

この作品をシェア

pagetop