戯れ人共の奇談書
選ばれざる者

「落選者……ね」


冷めた眼差しで手にした本を見つめ、そっと元の本棚へ戻す少女。
所狭しと本棚が立ち並び、他にはベッドと蝋燭しかない小さな寂れた個室。
本棚の所為で窓が隠れ、朝だというのに薄暗い


「さてと」

少女は雪のような青銀色の髪をなびかせ、踵を返した。
瞳には冷たさはなく、無邪気に藍色の瞳を輝かせ、軽やかに通路を歩いて行く。


「今日は見つかるといいな……」


あどけなさと影が、入り混じる少女の横顔。


少女は日向の下へ歩み出した。


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