晒し神
始まり
「何これ!?」「何なの!?」

「うるせ~な~!」
外でゴミ袋を両手に持ち、大声で騒ぐ母親の声で
普段は起きない早朝に、目を覚ました真治

その声に父親も外に出たらしく、何やら騒いでいる

「真治くん、ちょっと来て!」
階段の下から大声で呼ぶ母親の声に
「チッ!」と舌を鳴らし、頭を掻きながら二階の部屋を出た

階段の下ですごい形相の母親が
「ちょっと見て頂戴!」と手招きをして、慌しく玄関をでていった

「何だよ~?朝っぱらから」ドスドスと階段を降り
サンダルを履いて、まだ薄暗い外へ出る真治

門の外側で、塀を指差して騒いでいる両親の側へ行った
「何?」不機嫌そうな声を両親にかけ、塀に目をやった

その目に飛び込んできたのは、赤や黒のスプレーで
ブロック塀一面に書きなぐられた文字

「呪われろ!」「猫殺し」「ヘンタイ!」「死ね!」等の落書き

真治は「猫殺し」の文字に一瞬、目が釘づけになった
周りを見渡すと、隅の方に

「ネットに神がキター!」の落書き

「えっ!?」真治は自分の部屋に駆け込み
慌しくパソコンの電源を入れ、いつも自分が書き込んでいる
「匿名掲示板」を見た

真治は「ネット」「猫殺し」の文字に思い当たることがあった

真治はこの掲示板に、二週間ほど前、自分の行った
「ある行為」を書き込み、写メを乗せていた

その書き込みに対し、数日前に書き込まれた一文

「この様な行為 書き込み 悔い改めよ 続けるなら 罰す」 晒し神
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