晒し神

取調べ

誘拐及び殺人未遂容疑を起し、自分は自殺未遂で捕まった「佐藤 誠 28歳」の取調室に唯はいた

唯は自分の立場と名前を佐藤に伝えると、静かに

「私は晒し神を追っています、いくつかお聞きしますね」
と、うつむく佐藤の顔を覗き込むように、軽く頭を傾げ、言葉を切り出した

切り出された「晒し神」の言葉に、下を向いていた佐藤がやおら顔を上げ

「あれは本当に神かも知れない......」
と、泣き顔の様な表情をして唯に言い出した

頬に付いている、大きなガーゼが少し痛々しい、佐藤

「神?」
いきなり飛び出した佐藤の言葉に、唯はちょっと面食らった

ボソボソと佐藤は話し始めた

「おかしいんだよ!考えられない!俺は全て変えたんだよ」
少し震えながら佐藤が続けた

「荒らしってしってるか?」
佐藤の問いに

「ええ」と即座に唯は答えた

「俺はあっちこっちの掲示板で、荒らし行為をしてたんだけど、ある時」
言いかけて「んくっ」と唾を飲んだ、佐藤

「ある時、悔い改めろってヤツに書き込まれたんだ」

「俺も晒し神の事はネットやテレビで知っていた」

「警告を書かれた時、正直ドキッとしたけど、同時にこれは面白いと思ったんだ」

「どうせ晒されても、俺マンスリーのマンションだし、携帯もプロバイダーも変えりゃいいし」

「あとは名前位だろ、佐藤なんて名前、幾らでもいるし、晒されてもどうでもいいやって思ったんだ」

唯が「さっきの変えたって、引越しとか携帯とかを買い換えるということね?」と聞くと

「こう見えても、金は持ってるんだ」
と、少しだけ得意そうな笑みを浮かべた

佐藤自体はニートで、働いてはいなかったが、親が病院などを経営するボンボンだった

「警告を無視してたら、案の定来たよ、晒しが」

「で、すぐに行動に移したんだ、変えられるものは全て変えてやろうって」

「晒し神って、凄腕のハッカーか何かだと思ってたからさ」

「まぁ、追ってこれるなら、着てみろってさ」



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