晒し神

喫茶店

「よう!」と喫茶店に現れた北原に

「お呼び出しして申し訳ありません」と唯が立ち上がって軽く会釈をした。

「なに?他人行儀な、あ、コーヒーね」と座りながらウェイトレスに注文をした。

にこやかな北原に、唯は

「私の仕事です」と名刺を差し出すと、

名刺を見た北原は
「公務員って、そうか」と微笑んだ。

「率直にお聞きします、晒し神ってご存知ですよね」

北原は、運ばれてきた、コーヒーを一口すすり

「ああ、うちの会社で開発したものだよ」と素直に即答した。

驚きの表情をする唯に、北原は言葉を続けた。

「あるソフトの開発での、副産物で出来たものでね、あれはプロトタイプ」

「そのプロトタイプを試用したら、あれ(晒し神)になってしまった」

「コンピューターウィルスの開発ですか?」険しい表情で聞く唯に

「いや、う~ん、まぁそうとも言えるのかな」

「ミツバチいるだろ?遠くに飛んでいって蜜や花粉を集めて、巣に持ち帰る」

「蜜の代わりに、個人の今の関心事や、想っている事などを持ち帰り、収集できればと思って作った」

「それを元に、色々な製品の開発など、出きると踏んでね」

「でも、そこはプロトだよね、勝手に暴走しだした」

「開発したソフトは、言語を設定する事で、国を選択でき、反応するワード、例えば、任意の単語や、その複数の組み合わせなどね。それを入れると勝手に、それに関連付けしながら、自分で解釈して、飛び立ち、そして持ち帰る」

少し、睨み付ける様な表情で、話を聞く唯に

「でもさ」と言葉を続ける北原。
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