水島くん、好きな人はいますか。


わたしが水島くんを思い出すとき、真っ先に浮かぶのはいつも同じ始まりだった。


『ずっと一緒にいたい、って思うけん』


夜空に吸い込まれたそれは、彼がわたしのそばにとどまらない理由で間違いなかった。


『永遠を一瞬でも信じてもらえる、そのときまで。俺は立ち止まらんって、決めちょーよ』


彼が積み上げる一瞬の先。彼が思いを馳せる未来。


そこにはきっとわたしが想像するよりはるかに平凡でありきたりな幸せがあった。


それがなによりも、彼を突き動かしていた。


ひとりで背負うにはあまりに重い荷物を持ちながら、恐怖をたずさえて迫り来る時間に足がすくんでも。彼は前を見ることをやめず、歯を食い縛ってでも前に進んでいた。


なにがなんでも抗おうとするその姿。


わたしにはひどく切なく、なんとも苦しげに映るのに、彼は自らが掲げた決意を一度も手放すことなく、笑っていた。


出会いから、別れるそのときまで。


繰り返し何度も、何度も。


胸の奥に宿る愛というものこそが、彼にとって唯一の永遠だった。


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