いぢわる王子様
冷たい空気が、顔に当たって痛い。


その痛みで、ようやく涙が出た。


一回出ると、もうとまらない。


我慢していたものが、ボロボロと、全部水滴となって目からあふれ出す。


「碧!!」


前方に、誰かがいる。


私の名前を呼んでる。


けど、視界がゆがんで見えないよ。


「碧、どうした? 何泣いてる?」


その人物がすぐるだとようやく気づき、私は勢いよくその胸に飛び込んでいった。

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