いぢわる王子様
私は、下唇をかみ締めた。


ここで、泣いたらダメだ。


すぐるの父親は、私に手伝ってほしいことがあるといっていた。


まずは、それをキチンとやらなければいけない。


少しでも泣いてしまうと、そこからもう何もできなくなりそうだった。


だから……。


「手伝うことって、何ですか?」


私はすぐるから目を離し、森山直樹さんへ向けて、そう言った――。

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