先生さまはキスで繋ぐ
 彼は円華を見て、それから私を見て、


「……そう」


「……?」


 なぜか一瞬、目を細めたような気がした。


「えーっと、桂木清(かつらぎ せい)。俺の小中の友達」


「初めましてー、倉本円華です」


「初めまして……藤堂、遥です」


 ノリノリの円華のようにはできず、私はぎこちない動作で軽く頭を下げた。


「んじゃ、行きましょか。セイ、今日は俺らのオゴリってことで」


「んあ、ああ、わかった」


 特になんのリアクションもなく、桂木くんは了承した。


 カウンターで3時間のドリンクバー付きを選んで、渡された伝票の部屋番号に向かう。


 先を行く石川と円華はノリノリで、採点で対決だなんて話していた。


 歌は好きだけど採点するほどうまくないから、それは止めてほしいなー、なんて思っていた私に、


「藤堂さん」


桂木くんが、あいかわらずの無表情で声をかけてきた。

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