地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
うん……。

コイツと付き合って3年近く。

お互いの好き嫌いなども、だいたいわかっているが───……。


杏はやっぱり……ちょっと他の女よりズレてると思う。

フツー選ぶなら……カワイらしいキャラメル色のテディベアとかにしないか?


それが……般若より怖い形相、深い黒色の道着を着た冥界の主を「カワイイ」と連呼するんだからな。


そーいえば、高2の時にも……買い物中に閻魔大王のキーホルダーを見つけて、買ってたっけ?


今まで見てきた女ならば、行動ひとつひとつが、俺ウケを真っ先に考えて……どうにかして気に入られようとしていた。


コイツには、それが一切ない。

というか……たぶん、そういう考えがあることさえも知らない。

そんな純粋なところも、惚れている理由のひとつだったり。

出会った時から、変わらないコイツが好きだ。


ま……そんな杏に、たまにはご褒美あげねーとな。


「杏、繭が好きそうなぬいぐるみを選んで来い。今日の土産にしよーぜ」

「へ?あ、うん」


一瞬キョトンとなった彼女は、俺が微笑むと……閻魔大王のぬいぐるみから離れる。

そして、言われた通り素直に繭へのプレゼントを選び出した。
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