地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
俺らがいた通路、処置室内、すべてがまばゆい光に包まれる。


目を開けられなくて、腕で目元を覆った。



「杏―――!」


俺ひとり、叫んだ声が通路中に木霊する。





光が消えたと同時に、少し離れた場所から看護師の声がした。



「先生! 高瀬さんの心拍戻りました!!」



そして、悠たちは……。



「柚莉……どこだ?」


先ほどまでなかった意識が、戻っていた――――。


目を開けて、処置室内を見渡している。



「悠!」



松沢と悠のお袋さんが、ヤツの様子を見て、歓喜の声を上げた。



そして、雅人も。



「あ、生きてんだ……」



悠の隣の処置室で、意識を覚醒させる。



「雅人っ!」




朝比奈や雅人の家族たちは、悲しい涙ではなく、喜びの涙を流した。




< 415 / 622 >

この作品をシェア

pagetop