地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
霊力、極限まで使ったからね。

彼女の話を聞いていると、あたしが倒れた後、叔父さんがここまで運んでくれたらしい。

あとでお礼言わなきゃ。


「あ、そうだ。はい、お水」

「ありがとう」


実は喉がカラカラだったので、差し出された500ミリのペットボトルに入った水を素直に受け取り、一気に飲み干した。


そういえば……あたし、5日間、何も食べてないってことになるよね?


そう考えた時。


「お腹に、何か入れようか? お母さんに頼んでくるよ?」


タイミングよく、早和ちゃんが提案してくれる。


「お願いします」


ペコッと頭を下げると、彼女は「ちょっと待ってて」と言い、部屋を出て行った。


パタパタと廊下を走る足音が聞こえる。

急いで頼んでくれるようだ。


ありがたいな……。


早和ちゃんが慌てて出て行ったからか、部屋の障子が開けっ放しになっていた。

先ほどよりも、月明かりが部屋に差し込む。


ここ数日、部屋にこもりっぱなしだったので、布団から出て、立ち上がり……縁側に腰掛けた。


南側にあるこの部屋からは、キレイな月がよく見える。

縁側から外に足を出して、プラプラと揺らしてみた。


夏だというのに、風があって心地いい。


――フワッ


背中に下ろしている髪が、涼しい風を受けて翻る。


陸……何してるかな?


月を見ながら、心の中で呟いた瞬間。


「杏樹ちゃん?」


近くで、ばあちゃんの声がした。


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